城南コーテック株式会社様 事例紹介

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数字を集めるだけで手一杯の日々が、リアルタイムなデータで生まれ変わる。会議が報告から議論に変わる瞬間

城南コーテック株式会社
代表取締役社長 渡邊 智明 様

城南コーテック株式会社は1952年創業、70年以上の歴史を持つ塗装専門会社です。東京都品川区に本社を置き、埼玉県内の児玉工場・上里工場の2拠点で、特殊塗装・機能性塗装・粉体塗装など、あらゆる工業製品の塗装を手がけています。

同社では長年、塗料の使用量をアナログで管理しており、棚卸しの数字が合わないことも珍しくありませんでした。材料費の実態がつかみにくく、経営判断にも影響しかねない状態が課題でした。

この課題を解決すべく、同社はkintoneと「gusuku Customine(以下、カスタマイン)」を活用し、塗料の入出庫をデータで一元管理する仕組みを構築。工数を削減するとともに、蓄積したデータを生成AIに解析させる「次のステージ」へ向けて着実に歩みを進めています。

今回は、3代目となる代表取締役社長の渡邊智明氏に、その取り組みについてお話を伺いました。

【課題】インターネットがなかった工場から始まるデジタル化。kintoneでも解決できなかった塗料の在庫管理

2021年に入社した渡邊氏が驚いたのは、工場にネット環境すら整っていない現実でした。「ネットは水道やガスと同じインフラ」と社内を説得し、まずは通信環境をゼロから構築。チャットツールも導入し、デジタル化の土壌を整えていきました。

2023年にはkintoneを試験導入したものの、当初は営業メモ程度の利用にとどまり、活用が進まない時期が続きます。
「よく考えると製造現場を効率化しなければと思って。全社員が関わる紙のチェックシートをkintoneに置き換えていこうと考えました」(渡邊氏)

チェックシート(製造日報)は、ISO9001(品質管理に関する国際規格)に基づきトラブル時の原因追及(トレーサビリティ)を担う重要なデータです。しかし当時は紙で運用していたため手作業でのExcel集計が必要となり、不良率の把握に約2週間もかかっていました。渡邊氏は4〜5ヶ月かけて業務を整理し、現場がタブレットからkintoneへ直接入力する運用を確立。これにより不良率はリアルタイムで把握できるようになりました。

しかし、紙の管理が残る「塗料の在庫管理」という新たな課題が浮き彫りになります。棚卸しの数字が合わず、手作業の集計にも時間がかかっていました。


「製造業を営むうえで、工数や原価、在庫を正しく把握することは経営のすべての土台です。棚卸しの数字が合わないようでは、実際のコスト構造すら見えてきません。これは不良率の把握と同じ構造で、なぜこれほど出庫したのかをその日のうちに確かめられなければ、原因追及もできないまま記憶から薄れてしまいます。手作業の集計では断片的な情報しか得られず、実態把握に膨大な時間がかかっていました」(渡邊氏)

「タイムラグと手作業」という構造的な課題に直面し、渡邊氏は塗料在庫のデジタル化へと動き出しました。

【導入】決め手は将来を見据えた「拡張性」。できることの幅、使い勝手、プランで選んだカスタマイン

この課題もkintoneで解決できると考えた渡邊氏は、在庫管理の仕組みづくりに着手しました。すでにチェックシート運用でプラグインを活用していましたが、在庫管理の実現に向け、データの集計や連携により特化したプラグインの導入を検討することにしました。

その選定プロセスで出会ったのが「カスタマイン」でした。渡邊氏は「担当者が丁寧に説明してくれたので非常に分かりやすかった」と、Web会議での好印象を振り返ります。

大きな決め手となったのは「拡張性の高さ」です。求めていたデータ集計だけでなく、画面カスタマイズやQRコード読み込みなど、対応できる機能の幅は多岐にわたっていました。 
「当時、QRコードを使いたいと明確に思っていたわけではありませんが、これは将来使うことになるだろうと感じたんです。機能の一覧を見ているうちに、むしろやりたいことの幅がどんどん広がっていきました。まさに拡張性で選んだといえます」(渡邊氏)

また使い勝手の面でも、大きな手応えがありました。カスタマインは設定した条件や操作、「なぜその設定にしたのか」が日本語でそのまま残るため、時間が経っても意図を追いやすい点が高く評価されました。

さらに、料金の仕組みも採用の後押しとなりました。カスタマインは、カスタマイズするアプリの数(アプリスロット)に応じた明確な料金体系です。1つのアプリ内であれば、どれだけ機能を組み合わせても料金が変わらない安心感がありました。

こうして「機能の幅の広さ」「使い勝手の良さ」「明確な料金体系」を踏まえ、渡邊氏はカスタマインの採用を決断。2025年4月からフリープランで試用を開始し、6月下旬には入出庫管理のカスタマイズを完成させました。その後、現場の係長に実際に動かしてもらいながら実務に即しているかを確認したうえで、同年8月に本契約へと移行しました。

【活用】在庫管理だけじゃない。経営判断のための集計から、現場に寄り添う注文書まで、広がるデジタル化

入出庫管理アプリ

在庫管理の起点となるのが、材料の入出庫管理アプリです。1回の入出庫につき、塗料1缶ごとに1レコードを作成する仕組みで、社員番号や仕入コードを入力すると、マスタから担当者名や塗料名が自動で呼び出されます。そのうえで入出庫種別と数量を入力していきます。

レコードを保存すると、カスタマインが仕入マスタ側の在庫数を自動で計算・反映します。アプリ画面には、リアルタイムの在庫数やその塗料を使用する商品の一覧が関連レコードとして表示されるため、手元のデータを確認しながらスムーズに入力作業を進められます。 

誤操作防止策も万全です。入庫は管理課、出庫は現場と部署ごとの権限を制御し、不一致時はエラーを表示。また、保存後の誤変更を防ぐため編集不可とし、修正時は「変更する」ボタンを経由させる仕様にしました。元の数値を保持したまま自動計算されるため、ユーザーは計算を意識せず正確に修正できます。


「入出庫の修正は必ず起こるものなので、こうした仕組みを実現できて助かっています」(渡邊氏)

月次集計アプリ

カスタマインによって在庫管理の仕組みが整ったことで、次に取り組んだのが月単位での自動集計です。渡邊氏が目指したのは、売上と材料費を正確に突き合わせ、原材料費を除いた純粋な利益(粗利益)をリアルタイムに把握することでした。そこで、カスタマインの定期実行タスクを活用し、日々の各種データを月単位で自動集計する仕組みを構築しました。

売上や不良率はチェックシートから日々自動集計。材料費は「単価×出庫数」から算出し、「材料出庫集計アプリ」で売上と突き合わせて商品ごとの材料費比率を導きます。複数商品で同じ塗料を使う際の「按分」は、計算の複雑化を避けるため「売上合計に対する材料費比率を各商品へ一律適用する」実務的なモデルを採用しました。

集められたデータは「月次集計アプリ(商品×1ヶ月で1レコード)」に集約され、最終利益が算出されます。取引条件の見直しなど、経営判断に必要な指標が自然と見えてくるようになりました。

注文書アプリ

在庫管理の定着を見た現場から「注文書もkintone化したい」と声があがり、仕入マスタをもとに注文書アプリを作成しました。

発注する資材を選ぶ際、資材コードを入力すると対応する品名や仕入先情報がルックアップで呼び出されます。似た数字の手入力ミスを防ぐため、現場の資材に貼られたQRコードをスマホで読み取る仕組みも導入しました。これにより、入力作業の手間とミスの両方を大幅に削減することに成功しています。

また、1件の注文で複数の資材をまとめて発注できるよう、アプリ内にはテーブル(複数行)を配置できる構造を採用。QR読み取りや手入力は一度に1件分しか反映できないため、事前にチェック欄で「手入力」「QR」のどちらでどの行に反映させるかを指定してから読み込む運用に整理しました。

「QRコードは将来使うことになるだろう」と感じていた渡邊氏の予感が、ここで形になりました。

【効果】集計作業の自動化が、管理職の時間を月20時間生んだ。会議は数字報告から、経営判断のための議論へと変化

工数の面では明確な効果が出ました。係長の日々の集計作業(月5時間)や、課長が毎月丸1日かけていた月次集計が削減。管理職会議の削減なども合わせ、月あたり約20時間もの集計工数が削減されました。

しかし渡邊氏は、それ以上の効果を実感しています。かつては手作業の集計だけで手一杯でしたが、自動で数字が集まる今、コストの実態を踏まえたスピーディーな経営判断や議論そのものに時間を使えるようになりました。

資料作成が不要になったことで、会議のあり方自体も変化しています。
「5年ほど続けていた月1回の定例報告も『kintoneを見ればわかるので必要ないですよね』と工場長から提案があり、私も『いいじゃん。やめよう。』と、その場で廃止が決まりました」(渡邊氏)

導入当初こそ戸惑いがあった現場も、丁寧な説明を重ねて定着させてきました。今では工場長自らがアプリを作成するまでに進化。渡邊氏自身も生成AIを壁打ち相手にアプリを企画・設計し、検討時間を半日から数分へ大幅短縮しています。

【今後の展望】地道なデータの積み重ねが、確かな土台に。次のステージである生成AI活用を見据えた挑戦

工数削減という成果は出たものの、渡邊氏はその先にあるより大きな可能性を見据えています。
「工数削減という成果はありましたが、それが利益にどれだけつながったかと言われると、まだまだだと思っています」(渡邊氏)

目指すのは、蓄積したデータを生成AIに解析させ、経営や利益に直結させる未来です。その土壌づくりとして、現在は「納期管理」の仕組み化に注力しています。メール、FAX、Excel、口頭など顧客ごとにバラバラな受発注情報を生成AIで統一フォーマットに変換し、リアルタイムな進捗把握を目指しています。
「いずれどの会社も生成AIとの連携が必須になります。開発されるのを待つのではなく、今のうちから準備しておこうという感覚です」(渡邊氏)

また、色替え時の段取りロス削減や、工場内のAIカメラとkintoneの連携など、挑みたいテーマは尽きません。塗料の在庫管理から始まった取り組みは複数アプリへ広がり、地道に蓄積してきたデータを武器に、渡邊氏は生成AI活用という次のステージへ向けて走り出しています。

取材2026年6月