東急リバブル株式会社様 事例紹介

公開日:

不動産の売却保証額シミュレーターをキントーンに。脱Excelで営業の機会損失と後続業務の負担を解消

東急リバブル株式会社
営業推進部 営業企画課
係長代理 福山 雄介 様
営業推進部 営業推進課
係長代理 井田 和希 様
アソシエイトリーダー 山田 聡恵 様

東急リバブル株式会社の営業推進課は、経営戦略に基づく多角的な取り組みの中でも、特に会社の収益向上に直結する「重点戦略」を現場のオペレーションに落とし込み、着実に推進することを主軸としています。同部署では、不動産の売却保証額の算出を複雑なExcelで行っていましたが、営業の機会損失を防ぐために「売却保証額をスピード算出できるアプリ」を、ノーコードツールkintoneとアールスリーの開発で構築されました。同開発の経緯と導入効果について詳しく伺いました。

営業担当者が「売却保証の提案をするべきか」を即断できるようにしたい

Q:kintone導入前の課題について教えてください。

福山様

東急リバブルの「売却保証」は、不動産買換え時のお客様の「売れないと買えない」という不安を解消するためのサービスです。一定期間内に成約に至らない場合、あらかじめ設定した保証額で当社が買い取ることで、確実な買換え計画を支援しています。本システムの活用は他社との差別化要素となりますが、同サービスを営業がお客様に提案する時に必ず行う「売却保証額審査」の依頼件数が減少しており、利用率の伸び悩みが課題となっていました。

Q:売却保証額審査の依頼件数が減少していた要因は何だったのでしょうか?

福山様

要因は2つありました。1つ目の課題は審査フローの煩雑さです。従来の審査フローでは、営業担当者がExcelでの審査調書作成や資料収集を行い、営業推進課へ依頼していました。営業推進課が一次チェックを行い、最終的に本部の承認を得るという流れでしたが、審査依頼から回答までに平均5日を要していました。また、実際にお客様が利用するか不明な案件も含め、すべての調書を営業推進課が確認し承認を得るプロセスとなっており、担当者間のやり取りが煩雑で多大な手間が発生していました。

2つ目の課題はシミュレーション精度の低さです。複雑な計算式のExcelを用いて売却保証額を試算していましたが、算出結果が実際の適用金額よりも1割以上高い結果が出るなど実態と合っておらず営業担当者が活用しづらい状況にありました。

これらの課題を解決するため、営業担当者が「売却保証の提案をするべきか」を即座に判断できる仕組みをつくり、売却保証の利用率を高めたいと思いました。

営業企画課の福山様

福山様はオンラインで参加いただいた

 

他部署で開発したkintoneアプリ「スピードアンサー」で解決できる

Q:「売却保証の提案をするべきか」を即座に判断できる仕組みとして、アールスリーの開発によるkintoneアプリを選定された経緯を教えてください。

福山様

私は営業推進課に在籍していたことがあり、審査フローの実態を熟知していました。一方で、以前、事業開発課においてアールスリーに不動産の価格をスピード回答するアプリ「スピードアンサー」の開発を依頼した経緯がありました。これらの経験から、今回の売却保証における審査課題も「スピードアンサー」と同じ方法で解決できるのではないかと考えました。アールスリーから「実現可能である」との回答をいただいたので、売却保証額のシミュレーションで使用していたExcelファイルとその計算式をアールスリー側へ開示し、プロジェクトが本格的に動き出しました。

実勢値に近い試算ができる「売却保証額 簡易シミュレーター」が完成

Q:開発した「売却保証額 簡易シミュレーター」をご紹介ください。

井田様

「売却保証額 簡易シミュレーター」は、目的の物件が売却保証サービスの対象であるか否かを判定後、対象の場合は売却保証額を簡易的に試算できます。

「売却保証額 簡易シミュレーター」のトップ画面

対象物件の種別は「土地・戸建・マンション」で、目的の物件の査定金額や延べ床面積などいくつかの指標を入力すると売却保証額が算出されます。この時、アプリの裏側では社内の査定基準や概算のリフォーム費用など複数の条件を踏まえた計算が行われており、目的の物件にどの社内基準が適用されたかなど、後工程の審査本番に必要な情報も把握できます。

物件情報を入力すると売却保証額が算出される

試算後に売却保証を受けたい場合は、営業担当者は営業推進課に審査を依頼します。アプリでは、入力項目をもとに審査に必要な「売却保証適用審査調書」を生成しPDFで出力できるので、このPDFをメールに添付して営業推進課に審査依頼を行います。

「売却保証適用審査調書」を生成する画面

井田様

従来のExcelシミュレーターにおける課題の1つが、算出された概算値と実勢価格の乖離でした。売却保証額は、目的の物件によりその経費など複雑な試算を必要とするため、概算との乖離が出てしまうケースがありました。アプリではこの問題が改善されており、物件の広さや場所によっての金額も妥当な数字が出てきており、前のシミュレーターと比べると現実に近い数字が算出されるようになりました。

営業推進課の井田様

Q:実勢価格に近い数字を算出するためにアプリをどのように設計したのか教えてください。

アールスリー開発者 けいん

まずは試算した売却保証額が実勢価格と乖離する原因を突き止めるため、Excelの計算式を一つひとつ読み解きました。ここで着目したのが「ある費用の算定ロジック」です。元のExcelでは参照しているある費用の項目におおよその値が入っており、これが現実とのギャップを生む要因でした。このギャップを埋めるために、東急リバブル様の別プロジェクトで利用していたある費用のデータベースを今回のアプリに応用しました。ある費用は変動性の高い数字であるため、目安の数字をもとにしたシミュレーションと比べて精度が上がると考えてのことでした。プロジェクトの目的には、単にExcelをアプリ化するのではなく「精度の高いシミュレーションシステムがない」という課題を解決することも含まれていたので、これを解決できて良かったです。

アールスリー開発者Excelの解析を担当したけいん

営業の心理的ハードルが下がり、審査依頼件数が約2倍、試算数は200件超

Q:売却保証額シミュレーター導入の効果について教えてください。

福山様

シミュレーターのおかげで、営業担当者が審査を依頼する心理的ハードルが下がりました。審査依頼件数の着地見込みとしては、導入前と比較して約2倍になる見込みです。

井田様

正式な審査依頼に至る前の「試算」段階でのシミュレーターの利用数は、200件を超えています。今までは営業の気持ちとしては「審査依頼=面倒な手続き」という感覚が先行し、売却保証が提案の選択肢から外されてしまう「食わず嫌い」のような状態でした。今は、担当者がシミュレーターで即座に試算できるようになったため、お客様への提案の幅が広がっています。たとえ最終的に「適用」に至らなくても、仲介と売却保証を比較検討した上でお客様に最適なプランを提示できていること自体が、大きな成果です。

アールスリー 井上

開発当初に福山様から伺っていた「審査依頼件数の伸び悩み」という課題に対し、具体的な数字として結果が出ていることは、開発側としても非常に嬉しいです。

アールスリー開発リーダー 井上

売却保証額シミュレーターの導入効果

 25年上期25年下期(着地見込み数)
売却保証額の試算方法Excelで審査書類を作成し
営業推進課に依頼
kintoneアプリでサクサク
売却保証額の審査書類Excelで手入力kintoneアプリからPDF出力
審査調書の作成業務入力ミスあり入力ミスなし
審査対象の実施熱量熱量の高い案件と低い案件が混在ほぼ熱量の高い案件
売却保証額の信憑性約1割の乖離現実的な数字を算出
審査依頼件数59件93件(110件)
売却保証額の試算数試算機能なし206件(247件)

入力ミスや「熱量の低い作業」が激減し、依頼件数倍増でも労働時間は変わらず

Q:売却保証額シミュレーターの導入により、審査を担当する営業推進課での変化について教えてください。

山田様

アプリ化したことで、入力ミスが劇的に減ったのが大きな変化です。以前は入力ミスが多く、その都度営業担当と何度もやり取りが発生していました。今は日付や曜日などが自動入力される仕組みになったため、こちらでチェックすべき箇所が減り、処理スピードも上がりました。何より、差し戻しのやり取りに伴う精神的なストレス負担がかなり軽減されたと感じています。

また依頼件数は以前の約2倍に増えていますが、労働時間が増えた感覚はありません。アプリ導入に合わせて運用フローを見直し、提出資料や確認項目を必要最小限に絞り込んだことで、1件あたりの処理時間が大幅に短縮されました。

熱量の低い審査も減りました。以前は簡単に概算が出せなかったため「とりあえず参考までに金額を知りたい」という熱量の低い案件でも、実際に売却保証を利用する案件と同じように書類を揃えて審査に回す必要がありました。今は営業担当が自分で試算できるため、私たち営業推進課がそうした「参考レベル」の案件を一つひとつ確認する手間もなくなりました。

営業推進課の山田様

kintoneではアプリの活用具合を簡単に分析できる。図から各地の営業が売却保証額のシミュレーターを「参考レベル」利用し提案に活かしていることが分かる

「できないことはないんじゃないか。」そう思わせてくれる信頼感がある

Q:最後に、脱Excelやkintoneによる業務改善を検討されている方にメッセージをお願いします。

福山様

当社の事情を深く理解してくださって、かつ無理な納期にも長年のお付き合いの経験を活かして迅速に対応していただいて、アールスリーには本当に感謝しかございません。

業務改善をしたいと思った時に「できないかもしれない」と最初から諦めないでください。アールスリーには「何でもできる。」そう思わせてくれる信頼感があります。こちらが「こうしたい」と1伝えると、単に1で返すのではなく、5や10といった広がりを持たせ、プラスアルファの提案を添えて返してくださることが非常に多いです。だから、自分たちの知識の枠にとらわれず「まずは聞いてみよう」というスタンスで相談してみてください。それだけで、業務の幅は一気に広がるはずです。万が一、自分たちが思い描いた通りの方法でなくても、必ず別の形での解決策を提案してくれます。いわば「業務改善の駆け込み寺」のような存在です。何でも相談してみる。そこから新しい可能性が始まると確信しています。

貴重なお話しをありがとうございました。

取材2026年2月